上海電力問題の闇②

真実の眼鏡

上海電力問題は、橋下徹氏が大阪市長を務めていた時代の大阪南港咲洲メガソーラー事業に端を発しています。
日本の重要なインフラを、上海電力という中国の国営系企業が担っているのは問題があるのではないか、ということです。
しかし、問題はその点だけに限ったものではないのです。
どのような問題があるのか、解説します。

電気代の値上げと上海電力

最近、多くの家庭を悩ませているのが電気代の値上げです。
電気代が大幅に値上げしている理由は2つあり、1つはロシアがウクライナに侵攻したことで原油価格が高騰したことです。
そして、もう1つが再エネ賦課金というものです。

このうち、上海電力問題と関係するのは再エネ賦課金です。
請求書を見ると、料金の一部にこの項目があることがわかるでしょう。
これはどのようなものか、知らずに支払っている人もいるのではないでしょうか?

再エネ賦課金は、正式には「再生可能エネルギー発電促進賦課金」というものです。
これは、太陽光発電や風力発電などの再生可能なエネルギーによって発電された電気を買い取るために使われるものです。

FIT(再生可能エネルギー固定価格買取)制度が始まった2012年から電気料金に加算されているもので、従来の発電方法よりも割高になる再生可能エネルギー発電の電気を固定価格で買い取るため、負担を利用者に分担してもらうという制度です。

これは、開始当初であれば一般的な家庭の負担額は年間で700円弱とそれほど気にならない金額でした。
しかし、太陽光発電が想定以上に増え続けたことで、大きく狂い始めたのです。

2022年4月以降になると、年間の負担額は1万円を超えて電気代が大幅に増えることとなったのです。
当初の負担額と比較して、およそ15倍にもなっています。

FITがあるため、再生エネルギーの発電を行っている事業者は、電力を長期間決まった価格で売電できるようになっているため、多くの事業者が太陽光発電事業に参入したのです。

そして、これは当然ながら上海電力のように外国とのつながりがある企業であっても適用されます。
そのため、高い再エネ賦課金を支払う中で、そのお金が海外へと流れていく割合が高くなっているのです。

再エネ賦課金の負担があまりに大きくなったので、今年から政府が補助金を出すのは変わりませんが、買取は定価にはしないというFIP制度が導入されたものの、これもすでにあるメガソーラーには適用されず、これから新たに建設されるものにだけ適用されます。

すでにあるメガソーラーに関する国民の負担は、特に軽くなるわけではないのです。
そしてほとんどの太陽光パネルは中国製で、日本の山林を広く伐採して場所を作りそこに設置し、どこかの投資家の利殖にはなっても地元には特に恩恵がないという状態なのです。

橋下徹氏の親中姿勢

そもそも、問題が浮き出た背景としては橋下徹氏の親中姿勢があります。
橋下徹氏は、中国と親しい関係にあると言われていて、入札の直前にも中国各地を訪問していたと言われています。

そこで、上海電力の入札についての話し合いがあったのではないか、とも言われているのです。
そのため、一連の経緯についてはステルス入札と言われ、最初から上海電力の参入を前提として行われたものではないか、とも言われているのです。

ただし、この大阪市のメガソーラー事業の入札が行われたのは2014年のことなのに、問題となったのは2022年のことなのです。
なぜ、8年も経ってから問題視されるようになったのでしょうか?

当時も、朝日新聞の経済面でソーラー事業に外国資本の企業が参入することは報道され、上海電力でも完成祝賀会に当時の会長が登壇してコメントをするなど、決して隠されていたわけではないのです。

また、当時は橋下徹氏がマスコミと対立姿勢を示していたので、このことは大きな攻撃材料となったはずです。
市民も、大々的な報道を見ながらも特に苦情を言うようなことはありませんでした。

なぜかというと、その当時は中国の企業が日本の太陽光発電に参入するということは、珍しいことではなかったからと考えられます。
それには、メガソーラー事業に対する見解の相違が原因とも言えます。

電力というと、生活には欠かせない非常に重要なインフラというイメージを持つ人は多いでしょう。
しかし、メガソーラー事業の場合は事情が異なるのです。

メガソーラー事業というのは、直接電力を家庭や企業に提供しているわけではなく、電力を作ってそれを電力会社へと売却するため、発電ビジネスとなっているのです。
そして、当時は日本の電機の買取価格が欧州の3倍以上だったため、外国資本の企業が外国から多数集まっていたのです。

そうして、外国企業が次々と参入している中で特に多かったのが、中国企業です。
実は上海電力に限らず、中国企業のスカイソーラーなども全国各地でメガソーラーを建設しています。
そうして、日本全国では70か所近いメガソーラー発電所が稼働しているのです。

中国企業は、低コストであることから全国で受け入れられています。
日本、および諸外国と比較して、圧倒的に安いという点を武器にして、多くの場所に参入しているのです。

そのため、自治体からもコストの安さで声をかけられていて、日本企業も入札の際は自社と協力するよう声をかけているのです。
こういった理由から、国内の企業は中国企業を途中参入させてしまうのです。

その点からも、大阪のメガソーラー事業も上海電力が参入することを前提としていたと考えられるのですが、それは決して橋下徹氏が親中であることばかりが原因ではないと考えられます。

全国で例があるように、あくまでも安さから上海電力が参入したと考えるほうが自然でしょう。
それは、元々その事業を受注していた伸和工業にとっても同じ事でしょう。

まとめ

上海電力が大阪南港咲洲メガソーラー事業に参入したことは大きな波紋を呼びましたが、その波紋は実際に起こった時点から8年が経過してから生じたものです。
当時は特に騒がれなかったことからも、実はその頃では大した問題とみなされていなかったことがわかるでしょう。
また、法律上も責任がないことはわかります。
とはいえ、橋下徹氏の発言がその時々で変わっていることも、疑いをもたれる原因となったと言えるでしょう。