上海電力問題の闇①

真実の眼鏡

上海電力は、ネット上を中心として最近の大きな話題となっています。
上海電力と言えば中国の電力会社なので、日本とは特に関係がないように思えるでしょう。
上海電力問題というのは、その上海電力が運営する発電所が大阪にあるというものです。
その問題について、2回に分けて解説します。

上海電力とは?

そもそも上海電力というのは、中国にある大手電力会社です。
ほぼ中国の国営企業のような扱いをされている会社で、正しくは上海電力股份有限公司という名称です。

そして、日本には上海電力日本という株式会社があります。
この会社は、中国の上海電力の100%子会社です。
本社は東京都にあり、2013年に設立されています。

上海電力日本の主な事業としては、まず発電所の建設や運営、管理があります。
また、電力や熱量の開発、生産、管理、及び太陽光や太陽熱、水力、風力、バイオマスや天然ガス、その他の再生可能エネルギーやクリーンエネルギーによる発電事業に対しての投資や設備建設、その他の電気の供給や販売なども行っています。

上海電力の日本における事業の進め方の基本スタンスは、日本企業との協力の下で事業を進めていくというものです。
それでは、なぜ今回は上海電力問題が生じているのでしょうか?

それは、「大阪市南港咲洲メガソーラー発電所」の建設によるものです。
この発電所は定格出力2.4MWで、大阪市では初めてのメガソーラー発電所です。
これは、大阪市が推進する事業として、一般入札の上で建設されたものです。

そして、上海電力では現時点で大阪のものと兵庫三田プロジェクト、SJソーラーつくば発電所の合計3か所のメガソーラー発電所を建設して稼働中であり、那須烏山プロジェクトも現在建設中です。

その内、最初に建設されたのは大阪市のものです。
つまり、上海電力が日本のメガソーラー発電所事業へと参入するようになったきっかけは、大阪市にあると言うこともできるのです。

別に中国の電力会社であっても、何が問題なのか分からないという人もいるでしょう。
別に鎖国しているわけでもなく、今や外国資本が入った企業は珍しくありません。
そもそも、メガソーラーは外国資本による買収が進んでいて、今や全国の3割が外国資本によるものとなっているのです。

その点でいえば、上海電力が建設していても問題はないかと思えます。
ただし、問題となるのは上海電力が中国の本社の100%子会社という点です。
要するに、上海電力日本として日本国内に会社はあっても、その本体は中国にあるのです。

それはつまり、中国に日本のインフラの一部を握られてしまった、ということになるのです。
万が一電力供給が停止するようなことがあれば、その地域に限らず周辺の地域、ひいては日本全国にも少なくない影響が出てしまうでしょう。

そのような重要な場所に、中国の国有系企業が関わっているというのは何かと不安が生じるものです。
そのため、今回の件は大きな騒ぎとなっているのです。

ただし、その問題となる点はこれだけに限らず、もっと闇が深いものでもあるのです。
その闇について、詳しく解説していきます。
一体、何が問題なのでしょうか?

橋下徹氏の説明が不明瞭

そもそも、問題が大きくなった理由としては橋下徹氏の説明が不明瞭だという点が挙げられます。
発端となったのは、橋本徹氏が市長を務めている期間に上海電力が一般競争入札で大阪市の咲洲メガソーラー事業を受注していたという点です。

この件については、一時橋下徹氏のTwitterのリプ欄が、「上海電力」で埋め尽くされるほどの話題となったのです。
また、かつてYouTube番組で共演していた北村治夫弁護士も、きちんと説明するよう求めています。

それに対して、橋下徹氏は入札条件を満たして落札し、仕事をしてくれるのならどこの出資を受けた業者でも、どこと組んでいても問題はないと返答しています。
経済安全保障上の不安があり、橋下徹氏の責任を問う声も上がっているのですが、法律上では何の問題もありません。

また、WTO(世界貿易機関)の協定の中に政府調達協定というものがあり、そこで基準額が示されています。
それにより、自国と他国の業者を差別してはいけないというルールがあるのです。

今回の大阪市南港咲洲メガソーラー発電所に関しては、これに該当するものです。
そのため、上海電力がいくら中国の企業だからと言って、一方的に排除することはできないのです。

橋下徹氏も、WTO案件に該当するため、外国の企業だからという理由では排除できないという反論をしていました。
しかし、上海電力のホームページに記載された文言があり、それも騒動の原因の一端となったのです。

そこには、メガソーラー事業について「大阪市によって招致いただいた」と書かれていたのです。
もしそれが本当なら、橋下徹氏の説明とは異なる点が出てくるでしょう。

ところが、事情は二転三転します。
実は上海電力が入札に参加したという事実はなく、落札してから出資という形で事業に参入したという情報が流れてきたのです。

そうなると、当時の外為法の所管の話へと変わってきます。
当時は、10%以上出資する場合は財務大臣、および事業所管大臣による事前審査が必要とされていたのです。

そうなった場合、上海電力が出資していることに問題があるのかどうかは、政府に問い合わせて回答してもらうべき問題となります。
そして、その場合も法的な問題はないのですが、そのことを言い出されたタイミングから橋下徹氏の説明が大きく変化してしまったのです。

元々は、入札で落札しているのだから問題はないという説明だったのに、実際には入札に参加していなかったので自分の管轄ではないという説明に変化してしまったのです。
そのせいで、余計な疑問を持たれることとなってしまいました。

そして、知事や市長が入札している企業を逐一確認していくというのは不可能なことであり、法律上特定の企業を排除するということもできないというコメントに変わりました。
そして、どうしても制限したいのであれば法律を制定する必要があるとも言っています。

まとめ

上海電力問題は、橋下徹氏に対する批判が相次ぐこととなりました。
しかし、この問題が騒がれているのは主にネット上であり、大手メディアなどではあまり騒がれていません。
橋下徹氏の問題を除いても、多くの問題点があるのです。
次回は、それらの問題について解説していきます。
メガソーラー・太陽光事業はすでに10年もの間の懸案なので、政府によって対策を速やかに検討されることが望まれます。