中小企業を襲うデジタルリスクの脅威

経営戦略

近年は、多くの企業がデジタル化を推進しており、ビジネスシーンの多くではITが活用されるようになっています。
そんな中注意したいのが、デジタルリスクです。
特に、中小企業ではデジタルリスクに対する備えが不十分なケースが多いのです。
どのような備えが必要なのか、解説します。

中小企業のデジタルリスクとは?

今や、仕事で一切インターネットを使わないという企業はごくわずかでしょう。
ホームページの作成から資料作成、SNSを活用した宣伝などは多くの企業が行っています。

しかし、インターネットを活用している場合、特有のリスクが生じてしまいます。
そういったビジネス上のリスクのことを、デジタルリスクといいます。
これは、パソコンだけではなくスマートフォンやタブレットなどを使用した際に生じるリスクも含めたものです。

細菌では、Instagramやツイッター、LINEなどで消費者とつながり、商品のマーケティングを行っている企業も増えています。
そういったビジネスモデルが注目されていますが、それに伴ってデジタルリスクも発生しているのです。

このリスクは、企業の規模にかかわらず起こるものです。
しかし、大企業であれば万全の対策をしていることが多いのですが、中小企業の場合はリスクマネジメントが不十分なことが多いため、大きな問題となる可能性が高いのです。

SNSの活用で現在特に注意したいのが、不適切な内容の投稿です。
社員が、会社のアカウントで誤って暴言を投稿してしまうようなことは、以前から何度か起こっています。
また、飲食店を利用した有名人について投稿してしまい、問題となるケースもあります。

SNSは限られたコミュニティではなく、世界中で見ることができるものです。
そのため、企業アカウントで問題のある投稿をしてしまうと多くのユーザーからバッシングを受けて炎上してしまうこともあるのです。

炎上した場合、単に謝罪をしただけではなかなか収まりません。
場合によっては、不買運動や企業への直接のクレームなどにも発展してしまいます。
また、ハッキングや操作ミスなどで個人情報が流出してしまうこともあります。

不正アクセスでは、企業が社外秘としているデータを盗み出されてしまうこともあります。
インターネットに接続するということは世界中とつながっているということなので、場合によってはそのような事態にもなりえるのです。

生産システムがウイルスに感染してしまい、正常に動作しなくなることもあります。
ウイルスは日々進化しているため、ウイルス対策ソフトでも検知できないものもあるのです。
そのようなことになると、生産ラインも止まってしまう可能性があるでしょう。

新技術や新しい機械を導入する場合も、デジタルリスクがあります。
現在は、IoTや5G のような新技術が誕生し、普及しつつあります。
しかし、それを導入すると新たな脆弱性が脅威となってしまうのです。

デジタルリスクにはどう備えるべき?

デジタルリスクは、一度起こってしまうとそう簡単には収まりません。
インターネットを通じて世界中に情報を発信しているため、影響はかなり大きくなってしまうのです。
例えば不適切な投稿を削除した場合でも、誰かが保存している可能性はあるのです。

これによっておこる損害としては、まず金銭的なものがあります。
企業の評価が落ちて売り上げが落ち込んでしまうだけではなく、そのトラブルで何らかの被害を被った人が損害賠償を請求することもあります。

また、評判が落ちてしまうと取引先からも敬遠される可能性があり、場合によっては企業としての存続が危ぶまれることになるかもしれません。
そうならないようにするには、デジタルリスクへの備えをしっかりと行っておかなければいけません。

デジタルリスクに備えることをデジタルリスクマネジメントといいますが、それにはまずSNSやITツールを使用する際の規定を定めておくことが必要です。
SNS、そしてITツールは特にデジタルリスクが起こりやすいものです。

どのような規定が必要かといえば、まずSNSへの投稿をする前にダブルチェックをすることが必要でしょう。
また、機密情報が含まれたPCやタブレットについては、持ち出す際に上司の許可を得てからとして、返却する時間についても明確にしておくようにしてください。

セキュリティ環境は、常に最新のものにしておきましょう。
特にソフトウェアに関してはメーカーのサポート期間もありますが、それを過ぎてしまうとセキュリティ環境も不安定になってしまいます。

そのまま放置しておくと、脆弱性などを外から狙われてしまう可能性も高くなります。
使い慣れたツールを使用していると生産性も向上するのですが、セキュリティ面を重視するのであれば適宜最新のものへと入れ替える必要もあるのです。

また、従業員にITリテラシーの教育を行うことも大切です。
デジタルリスクによって被害を受けた企業の例を知ることで、従業員が各々気を付けなければならないと自覚を持ち、業務にも用心して取り組むようになるでしょう。

従業員がITにあまり詳しくないという場合は、適切なフォローが必要です。
それについても学んでおきましょう。
ただし、中小企業では人材不足なことが多いため、教育は難しいという面もあります。

そのため、中小企業ではまずITに詳しい人材を確保することを考えましょう。
そして、会社全体でITリテラシーを高めていきましょう。
リスクへの備えを万全にするには、全体で一丸となって取り組む必要があります。

デジタルリスクマネジメントは、何も不真面目だから起こるというものではありません。
単なるうっかりミスから生じることもあるので、そういったミスを減らしていくように注意しましょう。

まとめ

デジタル化を進めるうえで、デジタルリスクというのはとても厄介でしょう。
デジタル化は便利なものですが、その代わりに多くのリスクも生じるのです。
特に、中小企業の場合は十分に気を付けてください。
デジタルリスクマネジメントは、1人だけで頑張ろうとしても手が回りません。
万全を期すのであれば、従業員が一丸となって取り組む必要があります。