中小企業における営業力の強化~人材育成とマーケティング~

現在の世の中は、過去に類を見ないスピードで変化を続けており、多くの企業にとって売上を伸ばし続ける事が非常に難しい時代になりました。
特に、中小企業にとっては、外資系企業の日本市場参入や機械化が進んだことにより、品質での差別化がやりにくくなり、価格競争が発生している事で、非常に厳しい状況でしょう。
しかし、一方でこのような中でも業績を伸ばし続けている中小企業もあります。
今回は現在も元気な中小企業がどのような力を持っているからかを解説させて頂きます。

経営は時流適応が基本

会社の業績を伸ばし続けるために、最も重要なことは時流に適応することです。
つまり、時代にあったやり方に常に変化できる企業が強いということです。
業績を伸ばし続ける中小企業は間違いなく変化に対応できている企業でしょう。(一部例外もあるかもしれませんが、今回は言及しません。)
では、今はどんな時代に変わって来ているのでしょうか。
ここでは大きく2つの変化をご紹介します。
一つは、「世界が小さくなっている」変化です。
これは物理的距離が小さくなっているという訳ではなく、日本経済とその他世界の経済が非常に近くなったということです。
例えば、江戸時代にヨーロッパの企業と取引を行うためには、連絡するには手紙ですから、一つのやりとりを行うためだけに複数日必要でした。物を輸送するにも同様です。
しかし、現在はこれだけの日数を必要としません。
答えはみなさんお分かりの通り、インターネットの登場です。
インターネットにより、いつでもどこでも世界にアクセスできるようになりました。いまでは回線速度もグングン上がり、海外サイトにもスムーズにアクセスする事ができます。
このようにインターネットが登場したことにより、それまでよりも圧倒的に世界への距離が近づきました。
多くの方が使用しているiPhoneもいまでは世界中で利用されています。
つまり、それまで日系企業は国内の競合他社を見ておけば問題なかった状況から、突如外資系の参入などによりこれまでの地位や常識が覆されるような状況になったのです。
この変化に対応できない企業はもちろん置いてきぼりにされてしまいますから、経営者は常にアンテナを張り、常に会社を流動的にしておく必要があるのです。
もう一つの変化は、消費者の購買行動の変化です。
これについても先ほど触れたインターネットの登場により大きな変化が持たされています。
特にスマートフォンの登場以降は、これまでなかったような購買ニーズが登場したりしてきております。
わかりやすい変化としては、通販の登場です。
アマゾンなどの登場により、多くの小売店に影響が出ているように、消費者が実際にお店に行って購入するというプロセスが少なくなってきております。
最近では、アマゾンエコーやワンタッチで購入できるボタンなどが登場してきており、今後もさらにこの流れは加速していくでしょう。
購入に至るまでの、プロセスにも変化が出てきております。
スマートフォンにより、インターネットが持ち歩けるようになったことから、友達と話して気になった商品などを即座にその場で検索できるようになりました。
あらゆる情報に簡単にアクセスできるようになった事から、比較する事が容易になり比較検討ニーズが大きくなってきております。
ほぼ全ての消費者が当たり前のように、ある商品やサービスを認知してから購入するまでの間に比較検討を入れるようになりました。
例えば、新しい冷蔵庫を買う場合を想定してみましょう。
冷蔵庫の購入を検討するきっかけとしては、壊れてきている・古くなってきているなどがあるでしょう。
そしてそれに気づいたあなたは、新しい冷蔵庫を探すためにアンテナが張られ、これまで気にも止めていなかったテレビCMや家電量販店のコーナーをみつようになります。(認知・興味)
そして、気に入ったいくつかの冷蔵庫ピックアップし、比較します。(比較検討)
インターネットで、価格や機能・サイズなどを調べたり、実際に店舗でサイズ感や色味をチェックし、最終的に納得のいった場所で冷蔵庫を購入するでしょう。
このような購買プロセスを見ると、2つの発見があります。
一つは、先ほど触れたように比較検討ニーズが大きくあり、それをインターネットで行う割合が大きい事。二つ目は、リアルとネットどちらも必要だという事です。
つまり、これからの業績アップを行うためには、これらの要素を踏まえた上でマーケティングや人材育成をしていく必要があるという事です。

営業力アップのための人材育成

これから必要な人材育成の考え方として、大きく2つあります。
ここでは、ネットに強い人材が必要などの当たり前の要素は触れませんのであらかじめご了承ください。
一つは、「LTV最大化の視点」を持つ事です。
要するに、リピート客にできるだけ多くの方になって頂くための視点を持った人材を多くするという事です。
人口減少が加速する一方で、これだけ多くの企業が同質の商品やサービスを提供する中で重要なことは、一度ご利用いただいたお客様に再来店して頂くことです。
もちろんそのためには大前提として、独自固有の強みのある商品やサービスを提供する事が必要ではありますが、接客も非常に重要です。
特に、差別化の要素が少なくなればなるほど、顧客の選択基準になるのは人やお店・会社です。
「どうせならあの人から買いたい」「どうせならあの会社で買いたい」というニーズが、今後高まってくることは間違いありません。なぜなら、比較検討が容易にはなりましたが、どの商品も似たものが多くなっているため選ぶ事が難しい時代でもあるからです。
接客は、全てをマニュアル化することは非常に難しく、結局最後の部分はモチベーションや考え方という所に落ち着いてします。
つまり、そういった考え方で仕事ができる人材育成が必要なのです。
二点は、「ネットとリアルを分けて考えない」という事です。
現在でも、自社通販は店舗とは関係ないという考え方で仕事を行なっている人が多く存在しており、通販を見て来店した顧客に満足行くサービスを提供でいない場合が多くあります。
しかし、今後はますますリアルとネットの境目はなくなりますから、店舗スタッフと通販スタッフの連携は必要不可欠になるでしょう。
そのためには会議体制や情報伝達手段の修正はもちろん、評価制度の変更なども必要でしょう。

営業力アップのためのマーケティング

次に、これから必要なマーケティング手法についてです。
マーケティングとは、業績アップに関係する全ての行動を意味しますから、先ほどから解説している接客などもマーケティングの一種と言えるでしょう。
マーケティングは顧客の行動に沿って行う必要がありますから、いまでいえばWEBマーケティングは必須事項です。
多くの中小企業はこのWEBマーケティングの取り組みが遅れている場合が多いため注意が必要です。
これは単に会社のサイトを作ってください、という訳ではありません。
ネットでの購入ニーズがあるなら通販サイト、比較検討できるような構築メディア、会社のブランディングのためのコーポレイトサイトや採用サイトなどWEBといっても多岐に渡ります。
さらに、作って終わりではなく、多くのアクセスを集めるためにSEO対策やコンテンツマーケティング・WEB広告活用などあらゆるWEBマーケティングを使いこなす必要があるでしょう。
つまり、このようなコトが可能な人材は遅かれ早かれ必要になるというコトです。もちろん最初は、外注を活用しながらでも問題ないでしょう。
新しいマーケティング手法について、経営者の高齢化がボトルネックになっている場合もあるため、場合によっては若い世代に裁量を持たせて行わせるということも検討することをお勧めします。

このように時代にあった人材育成・マーケティングができれば会社の営業力は間違いなくアップします。
業績を上げ続けている中小企業の共通点はまさにここにあるのです。