取締役の責任追及の時効は10年?

会社の取締役に対しての損害賠償請求権の消滅時効は、2008年1月の行われた最高裁判で10年と判断されています。
これは経営破綻した北海道拓殖銀行の元取締役が、債権譲渡を受けた株式会社整理回収機構から融資に対する善管注意義務違反があったということでの損害賠償が請求されていた事件です。
会社取締役に対する損害賠償請求権の消滅時効は、民法で10年、改正前商法では5年と言われていました。このケースは最高裁が請求権の消滅時効について初めて判断したケースです。


株主代表訴訟での責任追及も10年以内なら可能に?
この判決により、株主代表訴訟も10年以内であれば役員責任追及がされることになりました。
株主代表訴訟とは株式会社の取締役などが、法令に違反する行為により会社に対して損害を与えた場合、会社に代わって株主がその取締役に対して責任追及するというものです。
取締役の責任は会社に対するものなので、本来であれば会社から責任追及されることになります。
しかし会社は、身内とも言える関係にある取締役を厳しく責任追及することは困難であるといったケースもあります。そのため株主が会社に代わり、取締役の責任追及を行います。
以前は訴訟が少なかった理由
株主代表訴訟制度は戦後まもなく設けられた制度でありながら、40年以上は株主代表訴訟が起こされることはありませんでした。
その理由として、株主が会社経営に対して関心が高くなかったことも原因でしょうし、経営に対する部外者とも言える株主が株主代表訴訟を起こすことは混乱を招くとも考えられていたからです。
さらに訴訟を起こすための費用もけっして安い金額ではなく、負担が大きかったということも理由だと考えられます。
商法改正で訴訟件数はますます増える傾向に
それまでは損害賠償の請求額に応じた手数料を負担する仕組みでしたので、損害賠償金の額が大きくなればその分手数料も大きくなることで負担が大きかったと言えます。
何億もの損害賠償に対する手数料は何百万円ですので、訴訟を起こしたくても起こせないという状況もあったと考えられます。
商法が平成5年に改正されたことで、株主代表訴訟の手数料は一律8,200円になりました。商法改正が、高額な損害賠償のケースでも訴訟を可能としたことで件数も増加傾向にあります。
取締役はリスクの認識を
また会社法や日本版SOX法が施行され、企業の経営者の責任はますます厳格化している傾向にあると言えるでしょう。
今後は内部統制を構築し、運用することで経営者が果たす役割はさらに大きくなるでしょう。
取締役は株主代表訴訟リスクに対して適切な対応を行い、深刻な事態に発展しないような備えを検討しておくようにしましょう。

最新の記事

用語集

リスクの眼鏡では、記事に関する用語など簡単に解説したページを開設しております。

用語集のページはこちらへ
 

関連記事

こんな記事も読まれています

コンビニ24時間営業問題について解説します... コンビニといえば、24時間営業が当たり前のように思っていますが、最近では人手不足から24時間営業が困...
教育業界:学校法人が経営破綻に陥る原因とは?... 学校法人は近年の少子化が影響し、学生を募集することは最重要課題となっている状況です。 学校法人の経...
中小企業に多い?雇われ社長を解雇する際のリスクとは?... 会社の株式を過半数所有しているオーナーが外部から代表取締役を招聘して社長の座に就任させるケースは、中...
会社側が運行供養者として責任を負う必要があるのはいつ?... 従業員が車で通勤することは一般的なことです。 しかし、もしその従業員が通勤中に事故を起こしてしまっ...
高度経済成長期に培われた日本型雇用システムが変化する?... 現在の日本の雇用システムは、高度経済成長期に培われた終身雇用が主となっています。 しかし、企業を取...

img_01 img_02 img_03 img_04 img_05 img_06 img_07
  1. 2019-5-24

    自然災害に対するリスクマネジメントの方法とは?

    自然災害はいつ起こるか分からず、またその確率もごくわずかですが、いざ起こった時には多大な被害をもたら…

プレミアム記事

  1. 自然災害はいつ起こるか分からず、またその確率もごくわずかですが、いざ起こった時には多大な被害をもたら…
  2. 会社に勤めるのではなく、個人事業主として仕事をしている人は意外と多いのですが、その個人事業主が突然死…
  3. これまで社会の発展の原動力となっていた団塊の世代が、次々に退職を迎える時代となっています。 そこで、…
  4. 会社を興すときは、法務局で登記をする必要があります。 その際に、定款というものを提出することになるの…
  5. 現代企業経営は非常に複雑化しており、難しくなっていると言えます。 続々と新しいサービスが登場し、海…
  6. IT化やボーダレス社会が進むとともに企業経営は非常に複雑化するようになりました。これまでの常識が通用…
  7. 現代において人材確保に困っていない企業はほとんどないように思います。 特に地方の中小・零細企業にな…
  8. キャッシュフロー経営という言葉をご存知でしょうか? 言葉の通り、キャッシュフローを意識した経営方針…
  9. 団塊の世代など、会社の発展に大きく貢献して来た世代が続々と定年を迎えています。そこで問題になるのが退…
  10. 特定の企業に所属せずに自ら契約を獲得し収入を得る個人事業主ですが、働き方改革の波を受けて今後も増加傾…

話題をチェック!

  1. 2019-5-24

    自然災害に対するリスクマネジメントの方法とは?

    自然災害はいつ起こるか分からず、またその確率もごくわずかですが、いざ起こった時には多大な被害をもたら…
  2. 2019-4-5

    定款の目的に定めていない事業は行えない?

    会社を興すときは、法務局で登記をする必要があります。 その際に、定款というものを提出することになるの…
  3. 2016-12-7

    リスクの多様化で倒産急増中!?危ない企業の見分け方とは?

    中小企業の場合、売上を多数上げることだけに躍起となってしまうと、足元のリスクに掬われてしまう可能性が…
  4. 2016-12-4

    業務が中断すれば倒産危機!運送業の経営管理はBCPが重要

    経営資源が利用できず業務が中断してしまえばどうなるでしょう。トラック輸送が機能しないということは、原…
  5. 2016-12-3

    マイナンバー制度のデメリットとは?倒産リスクを抱える?

    マイナンバー制度導入前に国税庁が把握していた法人事業所数と社会保険の加入法人事業所数の間には、約70…
ページ上部へ戻る