契約破棄したい時はどうすればいい?契約解除の方法とは?

正式な手続きの上で交わされた契約には、法的拘束力が生じます。
そのため、契約がいったん成立すると基本的には破棄することができないのですが、一定の条件の下で契約関係を解消する、解除は可能となることもあります。
その条件や、契約を解除する方法について紹介します。

契約は解除が可能?

契約というのは、双方の合意の下で交わすものであり、正式な契約は法律によって拘束力が生じることとなります。
そのため、どちらか一方の都合でその契約を破棄するということはできないのですが、その一方で契約の解除であれば可能となることがあります。

契約の解除というのは、当事者のうちどちらか一方の都合でその契約関係を解消するという意思を表明することであり、その契約は原則として遡及的に消滅することとなり、解除された契約はそもそも成立していなかったことになります。

この時、もしも未履行の債務が残っていた場合でも、それを履行をする必要性は失われることとなります。
また、当事者であるそれぞれについては、相手に対して原状回復請求を行い、契約が結ばれる前の状態へと戻すよう請求することもできます。

その時点で、既に履行されている債務がある場合には、それも元に戻すよう請求すると共に、損害が生じている場合には契約の解除に伴って損害賠償を請求することも可能となります。

契約解除の手続きそのものには難しいことはなく、一方が相手に対して契約を解除したいという意思を通達して、それを相手が把握した時点ですでに契約解除はその効力を発揮します。
契約の解除には、相手の了承も必要ないのです。

ただし、その解除するという意思表示については、後日当事者間の争いとなった時に証明となるように、口頭で行うのではなく配達証明が得られる内容証明郵便を利用し、確実に相手へと契約解除の意思が伝わっていることを明らかにした方が良いでしょう。

この時、相手がその内容について了承しなかった場合などは、裁判でその解除が有効かどうかを争うこととなります。
その際に、争点となる契約解除の要件などを確認してみましょう。

解除が認められるには?

契約解除の意思表示自体は簡単にできますが、それが認められるかどうかは簡単ではありません。
契約が解除できるのは、あくまでもその要件を満たしている場合なので、まずはその要件について知っておきましょう。

契約解除には、法律に伴って解除が可能となる法定解除と、契約の時点で解除権が留保されていて、その条件を満たしていれば解除が可能となる約定解除があります。
約定解除は、主に手付金を支払う契約における約定解除が該当するもので、手付金を支払うという条件で解除できます。

法定解除については、相手に債務不履行があった場合や、売買契約において定められている瑕疵担保責任に抵触したことで、それに基づいて解除が行われる場合などが当てはまります。

この条件下では、債務不履行があった時の挙証責任は相手にあります。
もしも契約の解除を不当とする場合は、その債務不履行となったこと自体に反証する必要があり、その立証ができなければ契約の解除を免れることはできないでしょう。

履行遅滞については、履行する期日について明確な定めがない場合は催告によって相当期間を定める必要があり、その期間を超過した際には契約解除が可能となります。
また、履行が不可能となった場合には、催告しなくても契約の解除が可能です。

履行期日が定められていて、その期日までに履行されない場合は契約が無意味となる行為のことを定期行為というのですが、この定期行為に該当する場合も無催告での契約解除が可能となります。

瑕疵担保責任については、売買の目的物に契約の目的の妨げとなるような隠れた瑕疵があると判断された場合に、無催告で契約の解除を可能としたものです。
この場合、無過失責任として扱われるので、売主の過失の有無は問われないものとしています。

この瑕疵担保責任というのは、任意規定とされている為、規定を排除するような特約がある場合はその特約が優先されることとなります。
但し、消費者契約法の範疇となる契約においては、業者と交わした契約においてその瑕疵担保責任を全面的に免れるような特約条項を定めている場合、それは無効とされています。

このように、契約の解除というのは要件を満たしている場合であれば問題なく可能となりますが、その一方で要件を満たしていない場合はなかなか認められません。
ただし、意外と簡単に契約が解除できる場合もあります。

契約解除が簡単な例

契約の解除が簡単な例として、まず考えられるのはクーリングオフです。
高齢の母が契約したリフォームについて、クーリングオフを行ったという事例は聞いたことがある人も多いでしょう。

クーリングオフは、契約書を書面で受け取った日から8日以内であれば無条件で契約の解除が可能となる制度であり、たとえリフォームなどの工事を既に着工していたとしても、業者は自己負担で原状回復して契約解除に応じなくてはいけません。

しかし、このクーリングオフはあくまで事業者と個人が契約した場合のみ適用されます。
事業者間での取引においては、適用除外と定められているので、会社として契約している分には適用されないという点に気を付けて下さい。

また、契約が成立したと思っているものの、まだ成立していない場合などが考えられます。
これは、契約書に記入した時点で契約が成立するのではなく、その代金の支払いを以って契約成立とする等の旨が契約書に記されている場合です。

通常、契約というのは契約書に必要事項を記入し、押印した時点で契約が成立します。
しかし、中には代金や手付金を支払った時点で契約の締結とみなす契約もあります。
時々気付かずに契約が成立したと考える人もいるのですが、その旨が契約書に明記されている場合は、まだ契約が成立していない状態なので、契約の解除は無条件で可能となります。

これは、特に不動産の売買契約などでよく見られます。
不動産の売買では、契約書に記入してから手付金を支払った時点で契約成立とみなすのが一般的なので、手付金を支払う前の段階では双方ともに契約解除を申し立てることが可能なのです。

この時点で契約解除の意思表示をした場合、手付金の支払いも必要なく、また違約金などを支払う必要もありません。
ただし、事業者間の取引で何度も契約解除を繰り返すようであれば、信用を失うことになるでしょう。

このように、契約の解除が非常に簡単な場合もあるのですが、本来契約というのは非常に重要なものであり、慎重に行わなくてはいけません。
後から解除するというのはあくまでも非常手段なので、本来であれば契約する段階で解除できないものとして判断するべきです。

時に契約の内容は、会社の今後を左右することになるかもしれません。
後になって契約の解除方法を考えるよりも、まず契約する段階で慎重な判断を心がけましょう。

まとめ

契約というのは、法的な拘束力を伴うため破棄などは基本的にできません。
しかし、債務不履行や隠れた瑕疵があったなどの要件を満たした場合は、契約を解除して契約そのものを無かったことにすることが可能です。
また、契約書に記入してもまだ契約が成立していないということもあり得るので、契約の成立条件についてもしっかりとチェックしましょう。
ただし本来は、契約したら後は履行されるだけという状態なので、契約自体を慎重に判断するように気を付けましょう。

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