レジ袋有料化の疑問

その他

2020年7月1日からスタートしたレジ袋有料化は、みなさんの日常に浸透しつつあります。
しかし未だに、実施から数か月経った今も、有料化によって何かプラスに転じたという話は聞きませんよね。
本当に有料化すべきだったのかと、思う人もいるでしょう。
今回は、レジ袋有料化に関する疑問に迫りたいと思います。

レジ袋有料化によってプラスチックごみは減ったのか?

レジ袋有料化が実施される直前には、プラスチックごみによる地球環境問題についてよく採り上げられていましたよね。
例えば、海洋汚染に関することや、海の生物に悪影響を及ぼしてしまうことについて議論されていたでしょう。
上記のような事情を知ると、私たちに少し負担があっても仕方がないと思ってしまいませんか?

ですが、実際に実施されてからはどうでしょうか?
まだたった数カ月ではありますが、通常時よりもプラスチックごみが減ったという嬉しいニュースはありません。
レジ袋のゴミ問題が深刻だと言うから対応しているのに、全く音沙汰がないのもおかしいですよね。
その背景には、2つの問題があるのです。

①有料化の対象外のレジ袋があること
②ゴミ袋の需要が以前よりも増したこと

2つの問題点を知ると、本当に有料化することが問題の解決になるのかはっきりするでしょう。

①有料化の対象外のレジ袋があること

1つ目の問題点は、レジ袋の中には有料化の対象外になっている物があることです。
もしかすると、みなさんの中にも「このお店のレジ袋はタダなの?」と不思議に思った経験のある人がいるかもしれません。
有料化の対象外となるレジ袋には、以下の条件が設けられています。

・プラスチックフィルムの厚さは50マイクロメートル以上
・バイオマス素材の配合率25%以上
・海洋生分解性プラスチックの配合率100%

上記3つのレジ袋に関しては、有料化の対象外になりますから、現状でも無料で配布することができるのです。
ですが、上記の条件のいずれかをクリアしているレジ袋だから、環境には問題ないという訳でもありません。
例えば、バイオマス素材の場合は、配合率が25%以上であっても生分解ができるような袋でないのです。
つまり、ごみとして捨てられてしまうと、環境破壊に繋がってしまう恐れがあると言っても良いでしょう。
レジ袋の全面的な有料化になっていない仕組みは、削減に繋がっていると言い切れませんね。

また、補足としてロール状になっているビニール袋は、有料化の対象外になります。
少しだけ商品を購入した際には、これに入れて持ち帰る人もいるでしょう。
そうなると、「ロール状のビニール袋で対応すればいいや」と思ってしまう人もいますよね。

ロール状のビニール袋も、議論で話題となっているプラスチックごみの一種です。
ですが、無料だからと言ってどんどん利用されてしまうと、プラスチックごみの削減に繋がるのでしょうか?
有料化、無料と判断される袋の条件は、案外厳格でないことに気付けるでしょう。

②ゴミ袋の需要が以前よりも増したこと

2つ目の問題点は、レジ袋が手軽に手に入らなくなったことにより、ごみ袋の需要が増していることです。
みなさんの中にも、これまで、レジ袋を自宅のゴミ袋として活用してきた人も多いでしょう。
レジ袋は、購入した商品を目的地まで運ぶ以外にも、人によって活用の幅があるのです。
その場限りの用途ではなかったのですね。

しかし、有料化に伴い、気軽に手に入るような環境がなくなってしまった今はどうでしょうか?
気軽に手に入らない分、自分で購入しなければなりませんよね。
例えば、100円ショップにはレジ袋と同じような袋が数十枚入りで販売されていますから、そこで購入する人も出てくるでしょう。

そうなると、有料化したことで利用者が少なくなると言えるのでしょうか?
また、有料化しても、どのみち生活に必要だからと購入していく人もいれば、あまり深く考えず、面倒だからと購入する人もいます。
結果として、有料化によってプラスチックごみが削減できたという雰囲気でないことが分かりますよね。
それほど、レジ袋は私たちの生活に密接に関わる存在だということです。

有料化実施後に生じた出来事から考える、今後の買い物のあり方

レジ袋の有料化に関する疑問は、先程の2点だけではありません。
実際に実施された後から、改めて考えるべきことが出てきているのです。
その内容は、以下の2つです。

①同時に紙袋も有料化されているのはなぜか?
②コロナの影響で需要が増しているプラスチック製品

みなさんの中にも、同じような疑問を感じている人がいるはずです!
早速、見ていきましょう。

①同時に紙袋も有料化されているのはなぜか?

ところで、最近レジ袋以外にも有料化されている袋がありますよね。
それは、紙袋です。
レジ袋とは全然関係のない紙袋が、今回の有料化をきっかけに同じような扱いになっていると思いませんか?

紙袋が有料化されたことに関しては、特別な事情はありません。
一つの見解からは、レジ袋に便乗しているのでないかとも言われています。
食料品等を購入する意外にも、私たちの出費に関係する要素になっているのです。
レジ袋をきっかけとして、周りのサービスを見直すことになっていると言っても良いでしょう。

②コロナの影響で需要が増しているプラスチック製品

もう一つは、コロナの影響によることで、みなさんも体験しているはずです。
感染拡大以前は野菜のばら売り等が一般的でしたが、細かく個包装することが求められるようになりましたよね。
個包装を徹底するとなると、ビニール袋等が欠かせません。

また、有料化に伴い定着したエコバックも、感染拡大時には大きな問題になったことを覚えているでしょうか?
実は、エコバックは定期的に洗わなければ、汚れや菌が付着してしまっている状態なのです。
感染予防を徹底するとなると、定期的にお手入れする必要があるツールになるのです。
ですが、レジ袋はどうでしょうか?

仮に菌が付着していたとしても、袋をきちんと対策した上で捨ててしまえば問題ありませんよね。
使い捨てであるということが、メリットになっているのです。
これは、利用者側である私たちだけでなく、お店側にとっても言えることですから、必要度が増しているでしょう。
さらに、このことはレジ袋に限定されません。

プラスチック製品は、医療関係の機材にも当てはまります。
例えば、フェイスシールドだけでなく、マスクだってプラスチック製品なのです。
これらは基本的に、使い捨てが前提の備品になりますよね。
ここで、少し環境問題について考えてみましょう。

プラスチックごみの削減の一環として始まったレジ袋有料化ですが、レジ袋以上のごみが発生している現状があります。
これでは、削減に向かっているとは言えませんよね。
しかし、感染予防をするにあたり、必需品になっていることも事実でしょう。
下手をすると、レジ袋と言った小さな次元の話よりも、コロナの影響で生じているプラスチックごみの今後を考えなければなりません。
実際に、コロナで発生したゴミの量がどのくらいか、知っている人はどのくらいいるのでしょうか?

この疑問に答えられる人は、まだまだ少ないはずです。
現状で行っていることが本当に役立っているのか、その効果が表面化しなければ正しいかどうかの判断はできません。
例えば、具体的な削減率等のデータがあると、見てみたいですよね。
みなさんも、この疑問について今一度考えてみて下さい。

まとめ

今回は、レジ袋有料化の疑問についてお話ししました。
有料化を実施した現段階では、大きな変化や環境が改善したという話題はまだ届いていませんよね。
むしろ、コロナ予防として、レジ袋を始めとするプラスチック製品が活躍している状況があるでしょう。
本当に有料化して良かったのか、もしかするとその答えを出すことは、私たちにとって案外簡単なのかもしれません。