企業に起こりやすい労務問題にはこんなことが…

法務リスク

突然ですが、みなさんの職場で労務問題が発生したことはありますか?
従業員の働く意識は、年々向上しており、少し前までは許容されていた風潮でも改善が求められることが増えましたよね。
経営者としても、従業員とのトラブルはできる限り避けたいでしょう。
今回は、企業で起こりやすい労務問題をお話ししたいと思います。

企業管理として注意しておきたい基本の労務問題3選

労務問題は、業務上思わぬところで発生します。
ですが、事例を分析すると、大まかに以下の3つのカテゴリーに分類されることをご存知でしょうか?
その内容は、コチラです。

・待遇を巡る問題
・労働災害・労働保険に関する問題
・労働時間・休暇に関する問題

どれも、企業で働いている人にとっては、多かれ少なかれ経験の有る内容になりますよね。
具体的な問題点を含めて、少し見てみましょう。

・待遇を巡る問題

企業における待遇面を巡る問題には、主に解雇や退職、配置転換、降格等の人の動きに関する問題が挙げられます。
特に問題になりやすいのが、配置転換や退職に関する部分で、他の労務問題の中でもダントツで相談が多いことでも有名です。

日本の人事の現状というのは、自分から望んだ部署に働きに行くのではなく、会社から指示された場所に配属されて働くことですよね。
その結果、従業員のニーズとのギャップが生じてしまい、問題に発展してしまうのです。
近年は、家庭の事情から配置転換を望んでいるが、それが叶わないことで悩んでいる人が多いでしょう。

また、退職に関してはさらに問題が複雑化しやすいです。
近年の状況を見ると、退職したいけれども企業側が退職させてくれなかったり、反対にリストラ対象になってしまったりすることが挙げられます。
両者の状況は違いますが、共通しているのは、本人の意思とは違う状況になってしまっていることでしょう。

加えて、SNSの発達により、安易に従業員の解雇を決めてしまうと、「不当解雇」として企業の情報が拡散されてしまう可能性があります。
こうなると、従業員と企業間の問題に留まらず、風評被害等の被害も生み出しかねませんよね。
解雇は、労働基準法でも規定がされている通り、経営者の判断で簡単にできない仕組みになっています。
解雇や退職に敏感になっている今、安易な決断は自社の首を絞めてしまうことになるでしょう。

・労働災害・労働保険に関する問題

2つ目にお話しする問題は、労働災害に関する内容です。
労働災害が発生するのは、工場勤務や建築業のような体を使った仕事だけではありません。
デスクワークがメインの業務であっても、移動中や業務中に怪我をしてしまうことはあり得ますよね。

その際に、企業側が自社の責任を認めず、思うように手続きが進まないことがあるのです。
この代表例としては、長時間労働等によって精神疾患を患ったり、過労死してしまったりする内容になるでしょう。
これらの内容は、大きな問題としてニュースでも取り上げられたことがありますよね。
話し合いに時間がかかると、従業員側が労働基準監督署に相談することが多く、さらに解決が長引いてしまうのです。

解決に時間がかかると、企業内だけで話が完結しないだけでなく、世間からの評判にも影響が出てきますから、注意しなければなりません。

・労働時間・休暇に関する問題

3つ目は、労働時間・休暇に関する問題になります。
この問題も、近年労働環境を改善するといった視点から、重要視されますよね。
上記2つと違う点としては、労働時間や休暇は、みなさんのお給料やプライベートに確実に影響する部分になることでしょう。

特に残業時間に関しては、労働基準法にある36協定により、残業しても良い上限がきちんと定められています。
仮に、ルールの範囲内で行っている場合には問題がなくても、少しでも超過したり、おかしいところがあったりすると、従業員としてはおかしいと思いますよね。
その結果、残業時間が守られていないと感じている人も多くいるのです。

また、休暇に関しても、人材不足等の関係から、きちんと休みが取れないと悩んでいる人もいます。
さらに、上記のような事情から、本来は労働者が使える有給休暇を使うことができないという場合もあるでしょう。
人間は、必ずどこかで休まなければ、健康面等に支障が出て壊れてしまいます。
そのような人たちを目撃した人は、現代社会では少なくありません。
何より、十分な休息がないと業務パフォーマンスが低下してしまいますから、企業にとっても大きな痛手になるでしょう。

これら3つの労務問題は、誰にでも馴染みがある内容でしたよね。
次の項目では、さらに現代的な労務問題を見ていきましょう。

近年多くの企業で懸念されている労務問題とは?

ここ数十年で、企業の職場環境が変わった理由は、働き方改革を実施したからだけではありません。
特に中堅以降のベテラン世代になると、ハラスメントやうつ病について学ぶ研修等が実施されませんか?
一昔前までは、コミュニケーションとして問題なかったことでも、今では大きな問題として扱われてしまうのです。
ここではどのような内容が問題になってしまうのか、ハラスメントとメンタルヘルス、それぞれ取り上げてみました。

・ハラスメントに関する問題

若い世代の間では、「これはパワハラ?」「セクハラなんじゃないか?」と議論を集める話題が多くありますよね。
一見すると、コミュニケーションの一環で、嫌なら聞き流せばいいと思う人もいるでしょう。
ですが、全ての人が聞き流し、それ自体を無かったことにすることはできません。

例えば、パワハラも始めのうちは上司の1人からだけだったのが、職場全体からいじめのターゲットとして見なされてしまい、いじめ等に発展する可能性がありますよね。
また、セクハラは対象者に不快感を持たせるだけでなく、仕事にまで発展し、要求を飲まなければ仕事が回ってこない、孤立化させるということもあり得ます。
みなさんがこのような状況に置かれたら、どのような気持ちになりますか?
落ち着いて仕事ができる気持ちにはなりませんよね。

さらに、これらの問題を抱え込んでしまったり、相談しても解決しなかったりすると、退職だけでなくうつ病や自殺といった健康被害に発展します。
その結果、労災問題に発展することは大いにあり得るでしょう。
近年、世間はハラスメントに敏感ですから、発覚しただけでも企業イメージが大幅にダウンするのは間違いありません。

・メンタルヘルスに関する問題

うつ病等のメンタルヘルスに関する話題は、病気の当事者だけでなく、多くの人の関心を集めています。
現代人なら、どのような人でもなってしまう可能性がある。
もし、身近にうつ病になってしまった人がいたら、どう関わると良いのか?
相談先だけでなく、学べる環境や体制を整えて欲しいという声が多いですから、関心度の高い問題だと言っても過言ではありません。
企業によっては、相談先をまだ設けていないというところもあり、いざという時に誰に相談すべきか困っているという人が見られるでしょう。

また、いざうつ病等になってしまった場合、求職等の対応ができるのか、退職しないといけないのかと不安を抱えている人がいることも事実です。
様々な視点からフォローアップする体制をすることが、急務の労務問題の1つに挙げられるでしょう。

まとめ

今回は、企業で起こりやすい労務問題についてお話ししました。
解決のカギは、雇用契約等のルールをしっかりと守り、ルールに反するような行為が見られた場合は迅速に対応すること。
いずれの労務問題も、時間が経って明るみになった際に、どうすべきかの解決を求められることが多いですよね。
そのため、おかしいと思った段階で注意、関係者からヒアリングして相談しやすい環境を確保しておくことが求められるでしょう。