損害保険について解説します

事故・災害リスク

テレビのコマーシャルやネット広告などで、損保というキーワードを耳にすることも多いでしょう。
しかし、実際にその保険に加入していない人の中には、それが何なのか分からないという人も少なくないと思います。
損害保険というのがどのようなものなのかを、知っておきましょう。

損害保険の概要

損保と言われているのは保険の一種であり、正確には損害保険といいます。
医療保険が医療の備えとなる保険、生命保険が死亡時の備えとなる保険であるように、損害が生じた時に備えた保険が損害保険となります。

とはいえ、もちろんどのような損害に対しても備えとなるわけではありません。
簡単に言うと、自分の意志ではない行動によって生じた損害に対して、カバーしてもらう保険となっています。

また、生命保険や医療保険とは大きな違いがあります。
生命保険や医療保険の場合は、掛け金と被保険者の状態によって、受け取ることができる保険金というのはおおよそ決まっています。
例えば、死亡時に受け取ることができる保険金がいくら、ということです。

しかし、損害保険ではほとんどの場合、保険金の金額は決まっていません。
損害額によって、いくら保険金が支払われるかの審査があり、その結果保険金が決定します。
この方式を、実損払方式といいます。

損害保険は、一種類ごとの保険料は生命保険などと比べて、あまり高くないことが多いのですが、種類が多いのでカバーする範囲を広げるにはいくつもの保険に加入する必要があるでしょう。
また、補償の対象となるものが高額の場合は、それだけ保険料も高額になります。

損害保険が適用される範囲は非常に幅広いので、同じ損害保険でも保証する範囲は異なります。
また、個人向けと法人向けに分けられているので、その種類はさらに増えることになります。
次に、個人向けと法人向け、それぞれの損害保険の代表的なものを紹介していきます。

個人向け損害保険

個人向け損害保険の中で、最も身近なものとしては自動車保険があるでしょう。
車、もしくは原動機付自転車を保有している人であれば、自賠責保険に加入することが義務となっています。
この自賠責保険も、損害保険の一種です。

この自賠責保険は強制的に加入となる保険ですが、その上でさらに任意保険に加入する場合もあります。
任意保険に加入することで、保険が適用される範囲と支払われる保険の限度額が増加するのです。

一戸建てに住んでいる方であれば、その多くは火災保険に加入しているでしょう。
これも代表的な個人向けの損害保険で、名前こそ火災保険ですが実際には火災に限らず、天災や水害、盗難など家財を対象に生じた損害を幅広く補償してくれる保険です。

近年は、日本列島各地で幾度もの大地震が起こり、その被害に遭われた方も多いでしょう。
そこで注目されるようになったのが地震保険です。

地震保険は、火災保険ではカバーしきれない地震による被害を補償するための保険として、近年加入者が増加していますが、加入するにはまず火災保険への加入が必要なことが多いので、単独での加入はできないことがほとんどです。

ケガをした際に備えて、損害保険に加入する人も多いでしょう。
自動車保険の場合、加入していれば車の運転中に負ったケガや負わせたケガについては保険の対象となりますが、例えば道で転んだケガや自転車で追ったケガ、あるいは負わせたケガについては補償の対象外となります。

こうした対象外となる傷害について、別途補償するための保険が、傷害保険です。
特に、最近は自転車の事故で高額の慰謝料を支払わなくてはいけないケースが時折見受けられることから、加入者も増えています。

ゴルフのプレー中に起こった事故を対象とした、ゴルファー保険というものもあります。
プレー中のケガだけでなく、用具の破損あるいは盗難等に対する備えとなる保険で、良くゴルフをする人は加入を勧められた経験があるかもしれません。

また、ユニークな保険として知られるホールインワン保険も、損害保険のゴルファー保険の特約一種です。
これは、不意の出費に備えるための保険という位置づけであり、掛け捨ての保険で保障期間が1日など、短く設定されているものもあります。

旅行先で思わぬケガをした時に備えて加入しておきたいのが、旅行保険です。
この保険は旅行先でのケガはもちろん、盗難被害や所持品の破損なども補償の対象になります。

個人向けの代表的なものだけであっても、損害保険にはこれだけの種類があります。
それでは、法人向けとしてはどのような損害保険が代表的なものとなるのでしょうか?

法人向け損害保険

法人向けの損害保険にも、火災保険や地震保険があります。
その場合、保障の対象となるのは企業財産なのですが、オフィスと工場では対象となる財産が大きく異なるので、一般物件向けの保険と工場物件向けの保険は別々に用意されていることが多いでしょう。

思わぬ損失を負うことになった時に備えた保険というのもあり、これはシチュエーション別にプランが設けられています。
例えば、事故などで休業をやむなくされた場合の休業補償などがあります。

製品展示会や見本市など、何らかの興行を予定していたものの、それが中止せざるを得なくなった場合の損害を補償する保険もあります。
この時は、費用の補償だけではなく喪失した利益も補償してもらえる場合もあります。

製造業においては特に重要となる、生産物の品質に関する保険もあります。
第三者によって異物が混入されたケースや、偶然によって生じた汚染事故などの影響で、その生産物を回収することになった場合の費用を補償する保険です。
その際は、意図的ではない表示ミスなども補償の対象に含まれます。

事業用の自動車保険もあり、基本的な内容は個人向けと同様ですが、法人向けの場合は特約などが非常に多く用意されています。
例えば、積載していた貨物が破損した場合は弁償しなくてはいけなくなりますが、その分を補償する特約などもあります。

また、車の買い替えや修理に関して、それを補償する特約もあります。
弁護士特約などもあり、事業に用いる自動車の損害には広く対応することができるでしょう。

企業は、販売した製品や提供したサービスによって被害が生じた場合、それを賠償しなくてはいけない場合もあります。
その際の、賠償責任というリスクに備えた、賠償責任保険も法人向けの損害保険としては代表的なものです。

近年は、業務にパソコンを使っている企業がほとんどですが、それによって生じたハッキングなどのサイバーリスクについても、保険が用意されています。
もはや業務に無くてはならないパソコンの危険性を保障してくれるため、すでに多くの企業が加入しています。

その他にも、企業が抱えることになるリスクは多岐に渡ります。
法人向けの損害保険では、そういった個別のリスクに対しても保障できるように多くの保険を用意しています。
心配なことがあれば、まずは相談してみましょう。

まとめ

損害保険には多くの種類があり、個別に自動車保険や火災保険といえばわかる人が多くても、損保と言われると何のことか分からない人もいるでしょう。
個人向けの保険と、法人向けの保険ではその名称が同じでも、内容は大きく異なっていることが多いので、個人向けの保険に加入しているからといって法人向けの保険も同じ内容とは限りません。
必ず、詳しい内容を聞いてから必要な備えとなる保険に加入しましょう。