COVID-19パンデミックによる貿易業界の影響は?

その他のリスク

感染拡大の影響は、健康被害だけではありませんよね。
私たちの生活の維持にも繋がってくることは、周知の事実でしょう。
例えば、世界経済の規模で見た時に、貿易関係の状況はどうなっているのでしょうか?
今回の記事では、COVID-19パンデミックによる貿易業界の状況をご説明したいと思います。

パンデミックによって貿易縮小傾向に

COVID-19の影響は、国内だけではありません。
日本の輸入対象となる商品や雑貨等の貿易関係にも、大きな打撃を与えました。
しかし、日常生活の範囲でしか商品のやり取りがない私たちにとって、どのくらい貿易に影響があったのか、イメージすることは少し難しいですよね。
貿易の今後の見通しは、4月初めにWHOが世界貿易見通しを発表したことで明らかになりました。

その状況は、世界の財貿易量が最大で30%以上落ち込むと予測しており、世界全体で貿易に関する動きは停滞すると言ってもいいでしょう。
それぞれの地域別に見た時に落ち込み率が高いのは、アジアや北米といった世界経済の中心となっている地域になります。
これは、中国やアメリカが大打撃を受けたという影響の表れになりそうですね。

そして、今回の状況は今までない事態であることを、みなさんは感じているでしょうか?
WHOが公表した情報では、今後の世界経済が良い状態へ回復していくシナリオと、回復が遅れるシナリオの2つを提示しました。
つまり、少しの期間我慢すれば、絶対に回復できるとは断言できないことを意味していますよね。

特に回復が厳しいシナリオの内容には、2008年~2009年に発生した金融危機を超えるのでないかと懸念されている内容もありました。
パンデミック前の世界経済は、金融危機の大きなダメージを時間をかけて回復し、何とか状況を良くしてきましたよね。
それよりも困難な状況が、待ち受けている可能性は否定できません。
感染拡大を防ぐためにロックダウンした国や地域は多いですが、今後の見通しも厳しいと考えた方がいいのかもしれません。

今後の展開はどうなる?

世界経済のダメージが相変わらずの中、中国だけは元通りの貿易状態に戻りつつあります。
中国とのやり取りが回復してくると、日本も良くなるのでないかを思ってしまいますよね。
ですが、簡単な問題ではありません。

貿易の状況を考える上では、収支における金額面の移り変わりだけでなく、どのくらいの物やサービスが移動しているのかも関係してきます。
つまり、貿易で対象となる物・サービスの量や回数が増加しない限りは、大きな回復を見えるのは難しいと考えて下さい。
私たちは貿易収支面に注目しがちですが、何がどのくらい流通しているのか、その状況も回復しなければ元通りとは言えません。

ここで少し頭に入れておきたいのは、経済を回す上で大切となる消費者の存在です。

今回のパンデミックを受けて、消費者はCOVID-19にどのような印象を持ったでしょうか?
些細なことですが、これは貿易業界の影響を考える上では大切な要素になります。
一連の出来事を、あくまで一時的なことと考えるのであれば、状況が良くなった際のリバウンドはプラスの方向に大きくなるでしょう。
ですが、健康への影響が長期的に収まる気配が全くない場合、みなさんはどう考えますか?
安心して従来のような活動ができないと考えてしまいますよね。

日本の状況が良くなると考えるよりは、世界全体の状況が良くならないと完全回復とまで考えるのは難しいでしょう。
海外との関わりが強い貿易業界だからこそ、自社のリスクだけでなく、海外経由で懸念されるリスクには特に敏感にならなければなりません。

参考URL
WHO(https://www.wto.org/english/news_e/pres20_e/pr855_e.htm)
webChronos(https://www.webchronos.net/features/48521/)

まとめ

今回は、COVID-19パンデミックによる貿易業界の影響やその影響をご説明しました。
ロックダウンの影響により、現地サプライチェーンの機能が停止してしまう等と、海外との関わりが密接になる貿易業界の影響は大きすぎるほどです。
さらに、状況がこれから良くなるのかというと、感染拡大が止まらない状況下では不安要素が多いですよね。
業界内の状況の回復には、長い時間が必要になるでしょう。