経営者と保険/経営者に関わるリスクと保険(長期療養)

健康保険に加入している人が、ケガや病気で仕事を休んだ場合には一定の要件を満たすことで「傷病手当金」を受取ることができます。
健康保険に加入している被扶養者以外の本人なら誰でも支給対象ですので、それが経営者でも要件を満たせば受けることは可能です。


ただし経営者は役員報酬であることに注意
ただし経営者は通常給料ではなく役員報酬を受取っているので、一般的な従業員のように仕事を欠勤して報酬が変動することはないでしょう。
働けない期間が長引いて役員報酬が減額やゼロということであれば、傷病手当金が支給されることになります。ただし役員報酬を変更する場合には、会社の資金繰りや株主総会など配慮することが必要です。

・役員報酬を変更すれば受給可能だけれど…
役員報酬を変更するには原則として株主総会の決議が必要です。そのためケガや病気で短期間会社を休んだとしても役員報酬を変更しないことがほとんどのため、傷病手当金は支給されないことが多いようです。
傷病手当金の支給要件
傷病手当金が支給される要件として、業務外でのケガや病気による療養であること、さらに療養のために労務不能状態であることが原則です。
さらに被保険者のケガや病気により働けない期間が3日間連続していることが必要です。3日間は待機期間ですので、4日目以降の働けなかった期間に対して、1日につき標準報酬日額の3分の2に相当する額が支給されます。
ただし会社から報酬を受けた場合には調整されることになります。報酬日額が傷病手当金の日額以上なら支給はなく、傷病手当金の日額より少なければ差額が支給されます。
傷病手当金の支給期間
同一のケガや病気などに関しては支給開始から1年6か月を限度に支給されます。この期間は暦の上で計算した期間なので、実際に傷病手当金が支給された日数ではありません。傷病状態が一時回復し仕事に復帰したことで支給がなかった期間があったとしても、支給され始めて1年6か月で満了します。
経営者の長期療養は企業にとって大きな損失に
経営者が仕事に復帰するまでの間、継続して役員報酬が支払われれば経営者の生活に支障をきたすことはそれほどないかもしれません。
しかし経営者が不在の企業にとっては大きな損失になる可能性があり、最悪の場合には事業を継続していくことに大きな影響を及ぼす可能性もあります。
経営者が長期に渡って療養が必要な場合などや、高度障害状態や介護状態になった場合など、経営の一線から退く必要が出てくるとも限りません。
そのような事態に備え、固定費の支払負担や売上減少など、様々なリスクに対応できる保険への加入なども検討する必要があるでしょう。