法令違反・重大な欠陥・社会的責任を考える?

製造業を営む上で、倫理観を持つと同時に法令を遵守し事業活動を行うことは重要事項の1つであり、最も基本的なことです。
日常業務の中で対外的なものは取引先との契約業務になるでしょうが、企業の代表として業務を進める中で法令や社会規範を守っていくことは最低限の義務と認識しましょう。

会社法では、会社の取締役の職務遂行に関する不正行為や法令または定款に違反する重大な事実について、監査役や監査役会の監査報告に記載しなければならないことが定められています。
知的財産のリスク
製造業で重要な課題となるものに知的財産の保護があります。知的財産のリスクには、第三者が自社の権利を侵害する模倣品などのトラブル、過去に取引のあった企業間とのトラブル、他社の権利を侵害してしまうリスクなども含まれます。
そのためコンプライアンスを遵守する上でも、特に注意する必要があります。
重大な欠陥による製品事故によるリスク
コンプライアンス上の問題の中で、製造業が最も注意する必要があるのは製品事故の発生についてです。法令を遵守して設計や製造段階での事故防止の取り組みを徹底させることはもちろんですが、事故が万が一発生してしまった場合に負う企業の責任について、民法および製造物責任法(PL法)などについて十分理解を深めておく必要があります。

・製造物責任法(PL法)とは
製品の欠陥で他人の生命や身体、財産に対して損害が及んだ場合、製造業者に対する損害賠償を請求できるという法律がPL法で、適切に被害者を救済できるために設定されています。
製造業者などが製造や加工、輸入などで一定の表示をし、引き渡した製造物に欠陥があった場合の損害は、過失の有無にかかわらず賠償する責任が生じます。
製造業者の免責事由や期間の制限についても定められていますので、しっかりと理解しておく必要があるでしょう。
業務に伴って起きる紛争のリスク
製造業は機械設備の購入や原材料の調達、製品の出荷といった取引先とのやり取りが多い業種です。そのため取引先との契約トラブルに注意することが必要です。
下請法の遵守という観点から、取引書類を整備することも必要ですし、企業と従業員の間で労働時間や残業について労務トラブルが発生しないような労働法の遵守も徹底することが必要となります。
製品環境コンプライアンスの必要性
また、製品に含有される化学物質に関しても、地球環境に対する影響を軽減するという意味で考えていく必要があります。
地球環境の保全と持続できる社会の実現に向け、部品や原材料の段階から製品として出荷するまでのプロセスにおいて製品の管理をしっかりと行うことが大切です。