学習支援事業に関わる著作権侵害リスクとは?

学習支援のために必要な教材の使用など、教育分野でICT(情報通信技術)の活用が進むにつれて著作権に関する問題が教育機関のリスクとしてあがっています。

学習支援のために使用する教材を作成する場合や、eラーニングを活用する方法によって、著作権に関係ないと意識していなかったものが実は著作権を侵害しているというケースが増えている状況です。
そのため著作権処理が障壁となり、学習支援の提供が進まない問題も生じています。
正しい知識を身に付けること
現在インターネットが普及し、様々な場面で著作権の問題が存在しています。ビジネスだけでなく日常生活を送る上でも関係するなど、身近な問題です。
そのため教育現場でも教職員や一般学生が正しい知識を身につけることができるように、対策していく必要があるでしょう。
補助教材を作成したら著作権法違反?
教科書や副読本以外の補助教材を教員が作成することがあります。その場合に既存の資料など利用しながら作成することも多いでしょう。
この行為も著作権に関係するのかと思うでしょうが、実は著作権法では無断で他人の著作物を利用できる例外規定が設けられています。
著作物を無断で利用できる例外規定とは?
教員が授業を行うために自身が作成していない資料を活用して教材を作成し、児童や生徒に配付するという場合などは著作権者の許諾を得なくても良いことになります。
児童や生徒が調べ学習を行い、それらの成果を資料にまとめてクラス全体に配付するといった学習形態を行う場合もあるでしょう。
その資料として著作物を複製する場合なども、著作権者の許諾は必要ないことになっています。
学習指導要領の教育活動であればOK?
授業は教科の授業だけでなく、教育課程上に位置づけられる特別活動、道徳、総合学習の時間なども学習指導要領に規定された教育活動であれば含まれると考えられます。これは教員の依頼に基づいて事務職員などが複製する場合でも同様です。
全てが無許諾でOKではない
授業過程で使用するための教員主体の複製であっても、授業に必要だと認められる限度を超えている場合や、著作物の用途や種類、複製の態様や部数など著作権者の利益を不当に害する場合には許諾が必要であると言えます。
著作権者の許諾が必要なケース
・ドリル教材やワークブックなどをコピーして配付するケース
・授業に直接関係ない人へ配付するためにコピーをするケース
・市販商品と同様の形態で製本し、授業の過程を離れて使用できる複製方法を行うケース
・ソフトウェアなどを。児童や生徒が使う複数のパソコンにコピーするケース
授業の過程で使用すること
著作物を利用する時には、慣行に従った方法で作品のタイトルや著作者名などを明示する必要があります。
そして作成した資料は授業の過程において使用する目的以外では、著作権者から許諾を得る必要があることを理解しておきましょう。
文化審議会著作権分科会では、現在の教育現場の状況を踏まえ著作権法の見直しへの議論も始まっているようです。