労働安全衛生法の改正でよりよい職場づくりは可能となるのか?

労働安全衛生法の目的は、労働者が安全にそして健康を継続して働くことができることです。

それは労働災害が起こらない環境をつくるということで、労働者をケガや病気をしないように国を挙げて守っていこうという法律です。

労働者への事故対応教育を義務化したり、危険物や有害物の取り扱いにおける制限を行っていますが、身近な部分では健康診断の実施を義務化しているのがこの労働安全衛生法です。

労働安全衛生法の一部が改正

その労働安全衛生法が2014年に一部改正になっていますが、改正法のポイントは次の通りです。

・化学物質管理のあり方
特別規則の対象になっていない化学物質で一定リスクがあるものは事業者にリスクアセスメントを義務付けることになりました。

・ストレスチェック制度
事業者には医師や保健師などによるストレスチェックを実施することが義務付けられました。(ただし従業員 50 人未満の事業場は努力義務)

ストレスチェックの結果を通知した労働者に対しては、医師による面接指導を受けさせ適切な就業上の措置を講じることが必要となっています。

・受動喫煙防止対策の推進
労働者が喫煙により生じた副流煙や呼出煙により受動喫煙することを防止するために、事業場の実情に応じた適切な措置を講ずることが努力義務となっています。

・重大な労働災害を繰り返す企業に対する措置
厚生労働大臣が企業単位で改善計画を作成させて改善する仕組みを創設することになっていますが、計画作成指示に従わない企業は勧告、それにも従わない企業は名称公表といった措置が取られます。

・外国の検査機関など
危険性が高いボイラーなどの機械を製造する際の検査機関のうち、外国に立地するものも登録を受けられることになりました。

・規制や届出の見直し
建設物や機械などを新設する際に事前の計画届出を廃止、他にも電動ファン付き呼吸用保護具を型式検定や譲渡制限の対象に追加するなどがされています。

ストレスチェック義務化の背景

この改正点の中でも注目されているのはストレスチェック制度です。

この制度が義務化された背景には年間自殺者数が増加したことがあげられます。

働き盛り世代の死因の1位が自殺という現状で依然高水準であることから、国も対策を強化することとなりました。

精神障害等の労災補償状況

精神障害などの労災補償については、年度により増減はあるものの認定、請求件数ともに高水準を推移しています。

労働安全衛生法では1か月あたり100時間を超えるなどの労働量の過重をアセスメントしています。

メンタルヘルス不調は過重労働以外にも要因が考えられるため、労働の質に対してもアセスメントを追加することが必要と考えられています。

メンタルヘルス対策の促進強化を

事業場でメンタルヘルスケアに取り組む割合は増加しているものの、まだ遅れている企業も多く存在します。

今後はどの事業場でもしっかりと労働者の安全を守るために総合的なメンタルヘルス対策を促進していくことが必要だと言えるでしょう。