介護離職問題を解消するための法改正の内容とは?

親と離れて生活していたけれど、介護が必要となったことで離職する必要ができるなど、これまで培った経験やキャリアを手放す事はかなりの覚悟を要します。
離職すれば生活収入源もなくなるため、再就職する必要も出てきますがそう簡単に次の就職先が見つかるとも限りません。
少子高齢化では様々な課題が社会的な問題となっていますが、その中で近年注目されている問題が介護のために仕事を辞める選択をするしかなくなる「介護離職問題
です。


介護離職が及ぼす本人への影響とは?
介護離職で問題となるのは、仕事を退職する本人だけでなく、家族、企業、社会それぞれが関係しています。
これまで勤めていた会社を退職し、介護ができる状況を確保しながら再就職を考えた場合には正社員ではなく短時間のアルバイトなどに限られるでしょう。
収入は大幅に減少するため生活は苦しくなると考えられます。そしていつ終わるかわからない介護を終えた後に、正社員などで再就職を検討しても年齢が高いことで就職できないという状況に陥ります。
介護離職が影響を及ぼすのは本人にだけではない
介護される家族も、自分のせいで仕事を退職させたという罪悪感にさいなまれる可能性もあります。
そして企業も40~50代という企業を背負うはずの人材が退職してしまうことは、大きな戦力を奪われることとなります。先の人材育成にも影響するなど、深刻な問題だと言えるでしょう。
改正された介護休業法の内容とは?
このような介護離職を少しでも食い止めることができるためにと、2017年1月に「介護休業法」が改正されました。
これまでの介護休業法では介護が必要な人が家族にいる場合、1人につき通算93日1回を限度に介護のための休業が認められていました。これが通算93日3回を限度に認められることに変更されています。
さらに介護による休暇取得の場合は、1日単位での取得が基本だったものが半日休暇なども可能となりましたし、労働時間短縮についても介護休業と合わせて93日の範囲内で認められていたものが、介護休業93日とは別で3年間の内2回以上可能になると変更されています。
他にも介護期間が終わるまでは時間外労働が免除されるなど、介護が必要な人にとって働きやすい環境が整備されることが期待される改正内容となっています。
企業と社員が一丸となって取り組む姿勢が必要
団塊世代もリタイアし、介護が必要な高齢者が今後増加することが予測されます。社員が介護離職という問題に直面しないために、法律等の改正に合わせて企業も職場の環境を整備していく必要があるでしょう。
そして介護をする社員自体も、訪問サービスなど利用できる仕組みを最大限に活用しながら、介護に備えることができる努力が必要だと言えます