教育業界:学校教育と著作権問題!児童や生徒の作品にも著作権はある?

「著作権」というと、音楽や書籍、絵画、写真、映画、コンピュータプログラムなどの著作物を創作した者に対する権利ですので、学校教育においては関係がないように思うかもしれません。

しかし児童や生徒の作品にも著作権は存在します。芸術的や経済的な価値が作品の中に存在していなくても、創作者の創意工夫がある表現の作品であれば「著作権」の対象です。
そのため、児童や生徒が図画工作や美術の授業などで描いた絵や作った作品、国語の授業での作文や感想文、日記や手紙などどれも著作物に該当すると考えられます。
著作者の権利である著作権の種類
著作権は創作者の人格的利益を保護する「著作者人格権」、そして無断複製を禁止する「著作権(財産権)」に分けることができます。
複製という行為には、複写機(コピー機)やスキャナーなどを使って、画像上で再製する以外にも、データ入力や手書きによる写しなども含みます。

①著作者人格権
・公表権
・氏名表示権
・同一性保持権

②著作権(財産権)
・複製権
・上演・演奏権
・上映権
・公衆送信権・公の伝達権
・口述権
・展示権
・頒布権
・譲渡権
・貸与権
・翻訳・翻案権
・二次的著作物の利用権
どのような行為に著作権が関係するのか
例えば児童や生徒が学習の課題として書いた作文を、印刷して文集にまとめて配布するという行為について、著作権がどのように関係してくるのか理解しておきましょう。

・著作者人格権について
著作者には、作文など未公表の著作物を公表するか決定する「公表権」が認められています。児童や生徒が提出した作文を文集にまとめて公表する場合、作成した児童や生徒の同意を得る必要があります。
著作者の氏名についても、本人の氏名を文集に掲載して表示することが通常でしょうが、「氏名表示権」があるため念のため配慮が必要だということは理解しておきましょう。
また、著作者には作品のタイトルや内容を勝手に変更されない権利である「同一性保持権」があります。もしも教員が良かれと思っても、勝手に手を加えることはできず本人の同意が必要です。

・著作権(財産権)について
印刷という行為は著作物を複製することになりますし、文集を配付すれば複製物の譲渡ということになるでしょう。そのため児童や生徒に対して、複製と譲渡についての許諾を得ておく必要があります。
学校での教育活動で、児童や生徒の作品を利用する場合には、著作権法で定められた規定どおりに厳格に行動した場合には、著作物の利用のたびに著作者である児童や生徒の同意や許諾を得なくてはいけなくなります。
学校で著作権問題に対して上手く活動していくには
しかし学校教育を円滑に活動して実施するためには、入学の時や年度の初めに、教育方針として作品の利用について包括的に説明し許可を得ておくなどの対策が必要です。
ただし児童や生徒などの家庭のプライバシーに関係する内容が含まれる場合など、その中でも個別に配慮するといったことも必要です。